道教の神々:福禄寿

以前ある店先のガラスケースに七福神の像が並べられており「日本の神様」と書いた紙が貼られているのを見ました。道の真ん中で笑いだすわけにもいかず、吹き出しそうになるのをこらえるのに苦労したものです。
七福神は室町時代ごろに作られた神様ユニットで、成立過程でそのメンバーにいくつかの異同があったものの、現在では恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人がレギュラーメンバーとして定着しています。
このうち、日本オリジナルの神様は恵比寿のみ。恵比寿は、日本神話で障害児であることを理由に両親から捨てられてしまった蛭子命だとか、オオクニヌシの息子のコトシロヌシだとか言われています。
コトシロヌシってのは、アマテラスがオオクニヌシに使者を出して、葦原の中つ国をよこせと中国共産党だとかプーチンみたいな侵略行為を行ったときにオオクニヌシから返事を丸投げされたけれど、あっはいわかりましたと言って自分は隠れてしまったというだけの神です。
設定が定まっていないのは、そのどちらも後付で本来の恵比寿の神格とは違うからだと思われます。
残りの大黒天はシヴァの憤怒相マハーカーラ、毘沙門天は財宝神のクベーラ、弁財天は水の女神サラスヴァティーがそれぞれ仏教経由で伝わったもの。
布袋は実在するかどうか不明の現在では弥勒菩薩の化身とされる中国の僧。ただの僧侶にしても弥勒の化身だとしても神ではありません。
福禄寿、寿老人は道教の神。
七福神のうち六柱まではインドと中国からパクったもので、これを日本の神様とするのは、日本文化のことごとくを自分たち発祥だと言い張ってる韓国人と大して変わらないレベルじゃないかと思いますね。
さて今回とりあげるのは、七福神の中にパクられた道教神・福禄寿、寿老人です。
福禄寿の由来
福禄寿は福星、禄星、寿星よりなる三柱の神です。
福星は木星のこと。古代ではその位置によって年の名前を決めていたため歳星と呼ばれていました。古代占星術では福を司る星と考えられたため、福星となり、後に人格神となります。
また人格神にされることで、唐代徳宗のころの諫議大夫・陽城が福星となったという伝承も作られました。陽城は道州の刺史、つまりその地域の長官となったおり、道州の人が多く強制的に宦官としてとられていくのを見て、このような苛政をやめてほしいと上書したと記録されています。
そうしたことから陽城は死後に道州で福の神として祀られました。その影響で後に福星に習合されたのでしょう。現在の福星は文官だった陽城のイメージから、文官の冠をかぶり官服を着た姿になっています。
また、福を司るため同じく福の神である上元賜福天官紫微大帝と混同されることもあるようです。似たようなご利益の神様が混同されるのは民間信仰でよく見られる現象です。
禄星は、もともとは北斗七星の中に含まれる6つの星からなる文昌の一星でした。文昌は、北斗七星も含まれる天の区分である紫微垣の官僚だと設定されています。
科挙が始まると、自分も文昌にあやかって科挙に合格し、官僚になれるようにと祈願される対象となります。その文昌のなかの一つが禄星です。禄、つまり俸禄を司る星として信仰されるようになり、これもまた人格神となります。
人格神となった後の禄星は子宝の神である賜子真君送子張仙と習合されました。このため現在の禄星は子供を抱いた姿になっています。
寿星はりゅうこつ座の一つカノープスのこと。中国の占星術では南極老人星と呼ばれています。
中国からだと南の地平線ぎりぎりの位置に見えるカノープスは、戦乱のときには見えず平和なときには見える吉祥の星だという伝承が生まれ、そこから平和な世界での長生きを祈願する星として信仰されました。
人格神となった後、道教では南極仙翁、もしくは南極老人と呼ばれて長寿を司る神になります。
人の寿命を司るとされる南斗星君と混同されることもありますが、南斗星君は南斗六星を掌管する神なので南極老人星とは別の神格です。
七福神の設定間違い
さて、紹介してきたように福禄寿は福星、禄星、寿星からなる三柱の神々です。
ところが七福神ではなぜか「福禄寿」という一柱の神となっています。
要するに、どうももろこしには福禄寿というめでたい神様がいるらしいというふわっとした聞きかじりから、それが三柱の神々だとは知らずに七福神に加えたのでしょう。
寿星は南極老人という人格神になっていると述べました。その南極老人の別名は寿老人です。
つまり福禄寿の中に寿老人は含まれているのです。ところが、福禄寿を一柱の神だと勘違いした日本人は、長寿を司る寿老人は他の神格だと思ったのでしょう。「福禄寿」とは別に寿老人も七福神に入れました。
完璧な設定間違いです。いいかげんなもんですね。福禄寿は本来三柱なので、ほんとだったら七福神は+2の九福神、しかし寿星と寿老人は同一なので1つ減って都合八福神だってことになりますね。
まあ、うっすい聞きかじりで外来文化を適当にパクるあたりは日本のお家芸だなと思います。
福禄寿の信仰
道教の廟では、南極仙翁が単独の神像で祀られているのを見ることもあります。

新北市宏徳宮孫臏廟
しかし、福禄寿というユニット単位となると、壁画やレリーフ、梁の絵に描かれることはあっても、廟内に神像が祀られることはほとんどなく、主に廟の屋根の上に祀られていることが多いです。

台北市艋舺三清宮
それがなぜなのかはいろいろ調べてもわかりませんでした。
星だから?でも他の星から人格神になった神様は廟内に祀られていたりするんで理由としては薄いです。
あるいは屋根に福禄寿を祀っておくことで、どんな神様の廟でも拝すれば自然と福と禄と寿のご利益が与えられるという意味があるのかもしれませんが、これは単に推測であって本当はどうなのかはわかりません。






